どうも、みずたまかっぱです。
今回ご紹介するのは「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」です。
本書では、お金を使い切って「ゼロで死ぬ」ことを目指して、人生を思い出に満ちた素敵なものに変えていくための考え方が述べられています。
若いうちから真面目に労働と節約に励み、老後に向けて貯金をして、最後は子孫に大きな財産を残す、世間では正しいとされているそんな生き方に疑問を投げかける一冊になっています。
こんな方におすすめです!
- 若者から高齢の方まで
- 資産形成について別の視点を得たい方
- 幸せな人生を自分から作っていきたい方
書籍情報
著者
ビル・パーキンス【著】ビル・パーキンス
1969年テキサス州、ヒューストン生まれ。アメリカ領ヴァージン諸島に拠点を置くコンサルティング・サービス会社BrisaMaxホールディングスCEO。49歳のミリオネア。アイオワ大学卒業後、ベンチャー・キャピタル、エネルギー業界を専門に金融業界で活躍。ヘッジファンドマネージャーとして大成功を収める。その後、映画業界にも進出。みずから俳優・監督して映画制作にたずさわる。高額の賞金を獲得するポーカーの名手としても有名。
【訳】児島修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。1970年生。立命館大学文学部卒。
目次
ルール1――「今しかできないこと」に投資する
ルール2――一刻も早く経験に投資する
ルール3――ゼロで死ぬ
ルール4――人生最後の日を意識する
ルール5――子どもには死ぬ「前」に与える
ルール6――金、健康、時間のバランスを最適化する
ルール7――やりたいことの「賞味期限」を意識する
ルール8――40~60歳に資産を取り崩し始める
ルール9――大胆にリスクを取る
本の簡単要約とレビュー
この本はアリとキリギリスのイソップ寓話から始まります。
夏のあいだ、アリは勤勉に食料を蓄える一方、キリギリスは自由に遊びまわっていました。やがて冬が到来すると、アリは生き残り、キリギリスは飢え死にしてしまいました。
当然働くべき時にさぼっていれば、キリギリスのような惨めな将来が待っていますが、ここではあえてアリの人生に注目してみましょう。アリはどんな人生過ごしたのでしょうか。短い人生を奴隷のように働くだけで無為に過ごしてしまったということはないでしょうか。
私たちも、ただ生きるためだけに働いていくことを望んでいるわけでないはずです。「本当の自分の人生」を生きたいとだれもが望んでいるはずです。
この本では「経済的に豊かになること」と「人生を豊かにすること」を、「お金」や「時間」といった視点から考えます。
「今しかできないこと」に投資する
死を目の前にしたとき、私たちはきっと次のように考えるはずです。
自分は今まで一体何をしていたのだろう?これ以上、先延ばしをせずに、今すぐ、本当にやりたいこと、大切なことをすべきだ
(中略)
だが残念なことに、私たちは喜びを先送りしすぎている。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール p.17
このように述べている筆者は、決して「全てのお金を使い果たして享楽的に生きる」ことを勧めているわけではありません。むしろ、人生におけるお金や時間の使い方を最適化することを提案しています。
限られた時間の中で最大限に命を燃やす方法を考えなければならない。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール p.18
では、具体的にどうすればいいのでしょうか?筆者は、「その時にしかできない『経験』」にこそお金と時間を使うべきだと述べています。
人生で一番大切な仕事は「思い出づくり」
(中略)
人生は経験の合計だ。あなたが誰であるかは毎日、毎週、毎月、毎年、さらには一生に一度の経験の合計によって決まる。最後にふりかえったとき、その合計された経験の豊かさが、どれだけ充実した人生を送ったかを測る物差しになる。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール p.41
つまり、人生において最も重要なのは、思い出を積み重ねることです。それは単に「楽しいことをする」という意味ではなく、その瞬間にしか味わえない経験に投資し、充実感を得ることを意味します。時間は有限であり、後回しにしたままでは得られない喜びや成長があるからです。
ゼロで死ぬ
老後に必要な資産よりも13万ドル多く貯蓄してしまったエリザベスの例について、筆者は次のように述べています。
このとき、エリザベスは13万ドル分の経験を逃してしまったことになる。
それ自体が残念だことだが、それだけではない。これだけの金を貯めるために、エリザベスはどれだけの時間を費やしたのだろう。13万ドルを19.56ドルで割ると、6646時間になる。
そう、エリザベスは生きているうちに使い切れない金を稼ぐために、こんなにも長い時間を費やしたのだ。週50時間労働で計算すれば、2年半以上にもなる。言ってみれば、2年半タダ働きしたのと同じだ。人生の貴重な時間とエネルギーを、もっと他のことに使えたかもしれないのに。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール p.68
このエピソードを通して筆者は、「人生の貴重な時間とエネルギーを無駄にしないために、ゼロで死ぬこと」を繰り返し説いています。
生きているうちに金を使い切ること、つまり「ゼロで死ぬ」を目指してほしい。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール p.68
自分のお金、時間をコントロールして一生に一度の経験の合計を最大化する試みです。まさに、エンジニア的な効率化の極みだと思います。
この考えに対して多くの反論が考えられます、例えば、老後のお金はどうするんだと。
しかし、現役時代にせっせと働き老後のためにためた資産の多くは使い切ることができずに死んでいきます。実際、多くは退職後から死ぬまでにせいぜい資産額の1/4しか使いませんし、全退職者の1/3が退職後にも資産を増やし続けています。
他にも、「仕事をしてお金を稼ぐことが生きがいなんだ」、「人はいつ死ぬかわからないからゼロで死ぬことは不可能だ」、「死後子供や慈善団体に寄付すれば無駄にはならない」といった多くの反論が考えられます。本書ではこうした反論に対して一つ一つ丁寧に向き合って、ゼロで死ぬというメッセージを貫いています。
レビュー
「人生から最大の価値を引き出すために、全体として最適化する」という本書のメッセージは、非常に斬新で心に響きました。特に日本では、戦争や過度な貧困に苦しむことが少ない現代だからこそ、こうした考え方を実践しやすい環境にあると思います。
また、資産形成ブームの中で「漠然と資産を増やし続けている」方には、非常に刺さるテーマだと感じました。この本は、「人生をどう生きるか」を考え直す良いきっかけになるのではないでしょうか。
【私の評価】★★★★★